『走れメロス (新潮文庫)』
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出版社: 新潮社; 改版 (2005/02) ISBN:4101006067 それだから、走るのだ。信じられているから走るのだ――。
友情、青春、愛。大人になって再読したい。誰もが親しんだ名作を。
表題作ほか、文学的、芸術的豊かさに溢れた「中期太宰」の魅力を存分に味わう。
人間の信頼と友情の美しさを、簡潔な力強い文体で表現した『走れメロス』など、安定した実生活のもとで多彩な芸術的開花を示した中期の代表的短編集。「富士には、月見草がよく似合う」とある一節によって有名な『富嶽百景』、著者が得意とした女性の独白体の形式による傑作『女生徒』、10年間の東京生活を回顧した『東京八景』ほか、『駈込み訴え』『ダス・ゲマイネ』など全9編。
巻末に用語、時代背景などについての詳細な注解、解説、年譜を付す。
【目次】
ダス・ゲマイネ
満願
富嶽百景
女生徒
駈込み訴え
走れメロス
東京八景
帰去来
故郷
解説:奥野健男
本書収録「走れメロス」より冒頭
メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐(じゃちぼうぎゃく)の王を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。きょう未明メロスは村を出発し、野を超え山超え、十里はなれた此(こ)のシラクスの市にやって来た。メロスには父も、母も無い。女房も無い。十六の、内気な妹と二人暮しだ。この妹は、村の或る律気(りちぎ)な一牧人を、近々、花婿として迎える事になっていた。……
太宰治(1909-1948)
青森県金木村(現・五所川原市金木町)生れ。本名は津島修治。東大仏文科中退。在学中、非合法運動に関係するが、脱落。酒場の女性と鎌倉の小動崎で心中をはかり、ひとり助かる。1935(昭和10)年、「逆行」が、第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。この頃、パビナール中毒に悩む。1939年、井伏鱒二の世話で石原美知子と結婚、平静をえて「富嶽百景」など多くの佳作を書く。戦後、『斜陽』などで流行作家となるが、『人間失格』を残し山崎富栄と玉川上水で入水自殺。
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